work LSSの仕事

人の生活は、連続的なものなのに

病院。多くの人は、そこで初めて福祉用具を経験することになります。
退院後も福祉用具を使う人にとって、その経験がどんなものだったのかはとても重要です。

たとえば車いす。
病院で車いすを動かす練習をすると、ひとつの学習が形成されます。しかし、これがサイズもセッティングも最適化されていない状況で行われた場合、退院後にどれほど自分に適した車いすがやってきても、一度身体がおぼえた動きをリセットして再学習するのは容易ではありません。
たとえば私たちは、交通ルールを子供の頃から学習してきました。
それが明日から「青は止まれ」に変わったら、運転はスリル満点なものになるでしょう。
時間をかけて習得したものほど、修正にも時間を要します。

私たちは、この課題に取組むチャンスを待っていました。

チャンス到来。新たな課題も

2008年 ──
私たちは縁あって、船橋市立リハビリテーション病院において、病院の車いすの運用への関わりを持つチャンスに恵まれました。
高機能な車いすを配備し、福祉用具の専門スタッフが院内に常駐するこの新しい運用方法が定着してくると、次の段階への課題が浮かび上がってきました。

〝病院備品で運用する限界〟
それはたとえば、必要なサイズやスペックの車いすが不足したり、高機能な備品で運用していても、使う人の状況に十分には合わせられないケースが発生したりする局面で現れます。
これらの課題をクリアする手段を病院備品の充足に求めると、単に購入コストだけでなく、維持費、将来の更新にかかる費用、保管スペース等、実現が難しいというより、無駄の大きな方策になっていきます。

私たちには、発想の転換が必要でした。

必要な人に、必要な期間、必要なものが提供されるように

2010年 秋 ──
船橋市立リハビリテーション病院の指定管理者である医療法人社団輝生会の運営する初台リハビリテーション病院においても、私たちLSSが車いす運用に関われる可能性がでてきました。
そこで、ひとつのプランを実行に移す時がやってきました。それは、
病院で使われる車いすをすべて、
私たちのレンタル車いすで提供すること。


備品ではなくレンタルで運用することで、使える車いすの種類は大きく拡大します。また、必要な数量が不足するリスクも大きく軽減されます。 このアイディア自体は、ずいぶん前から持っていましたが、実行する具体的な方法が発見できずにいました。しかし病院での車いす運用に深く関われたことで、その糸口を掴むことができたのです。

そして2011年6月 ──
2つの病院でまったく新しい
車いす運用がスタートしました。

スタートした後も試行錯誤の連続でしたが、私たちはここまでの経験からさらに多くを学びました。

医療機関の車いす運用は、次のステージへ

現在 ──
私たちはこの貴重な経験を3つのことに活かしています。

1つ目は、オリジナル商品の開発。
合わせて374床のリハビリテーション病院で行われる毎日の車いす調整から、大変よく使われる寸法とセッティングを集約して、オリジナルの車いす「PIPE(L)INE」をデザインしました。
ベース車体がないところからのもの作りが、いかに難しく、いかに面白いものか。私たちはそこで体験することができました。
そして、ここからまた、その次のアイディアに進みつつあります。

2つ目は、在宅現場へのフィードバック。
病院での車いす運用がレンタルに切り替えられたことは、私たちのレンタルラインナップについて、より多くのノウハウが得られる機会が増えたことも意味しています。
膨大な調整経験から得られるノウハウは、もちろん在宅の福祉用具現場にフィードバックして活かされています。
また、調整目的の違いからくる、病院と在宅でのセッティングの違いも興味深いテーマです。

最後の3つ目は、他の医療機関への広がり。
病院の車いす運用全体をレンタルでカバーするシステムは、様々な条件が揃わないと実行することが難しい手法ではあります。
そこで私たちはこのレンタルシステムに改良を加え、いくつかの、より小さなボリュームからスタートできるシステムを確立しています。
これらは、既にいくつかの医療機関で、実行に移されています。